障害者の多くは、職場や働き方の適正にとても敏感です。
「今のままでは長く働けない…」と、マイナス思考になる人も珍しくありません。
そんな時、自分に合った就労支援を利用することで、状況を変えることができるのです。
今回は、就労支援の種類と、利用するメリットについてご紹介しましょう。

就労支援の種類を確認しよう

就労支援と言っても、自分のニーズに合った支援が受けられなければ意味がありません。
その際に大切なのは、どのような就労支援を求めているのかということになります。
一般的な就労支援の種類を、それぞれ確認してみましょう。

  • 職業相談
  • 職業訓練・能力開発
  • 職業開拓・職業紹介
  • 就職後の支援

どの内容も就労を実現するためには、必要不可欠です。
具体的な支援の内容を、見てみましょう。

職業相談

職業相談では、すぐに就職がしたい人の相談だけでなく、働ける状態かどうかも相談することができます。
いくら仕事を早く見つけたいと思っていても、万全に働ける状態でなければ面接等を乗り越えていけません。
今後、どのように行動していくべきかを考えていくための支援だと考えましょう。

障害者の職業相談を行っている機関には、障害者職業センターが挙げられます。
ここでは、職業評価と呼ばれる職業能力の評価が行われており、その結果を基に就労支援計画が作成されます。
これは、自分にあった支援サービスを判断するために必須です。
就職に向けて何をすべきか迷った時は、頼ってみると道が開けます。

職業訓練・能力開発

職業訓練や能力開発では、希望する職種で必要となる能力の訓練を行います。
その内容は多岐に渡り、昔と比べるとバリエーションが豊富になっています。
例えば、プログラミングやWEBデザイナーのような専門性の高いものから、ビジネスマナーやパソコンスキルのような基本的なものまで対応しています。

求職者向けの場合は2~6カ月程度で終了しますが、専門性が高い内容になると1~2年間かけて習得を目指していきます。
これらの求職者向けの訓練は無料で利用できますし、条件をクリアしている場合は手当を受け取りながら通うことができます。
お金の不安を解消しつつ勉強に集中できますので、新しいスキルを身につけたい人は申し込んで損はありません。

また、スキルや資格の取得だけでなく、場所によっては対人スキルや体調のコントロール方法について学べるコースもあります。
就労に向けて必要な能力は、実務的な内容だけではありませんから、今の自分に必要なものを選ぶようにしましょう。

職業開拓・職業紹介

職業開拓・職業紹介は、実際に就職に向けた支援を行います。
所謂、求人紹介を行ってくれますので、就職活動中にお世話になることが多いでしょう。
そして、障害者の就労支援の場合は、健常者と違い、採用面接に担当者が付き添ってくれることがあります。

付き添いがあると、少し安心できる人もいるでしょう。
しかし、それだけではありません。
付き添いをする目的は、企業の採用担当者に障害や配慮についての説明をすることにあります。
適性に合った仕事であっても、障害への理解がなければ環境でのミスマッチが発生しかねません。

求人情報の内容を吟味する上では、重要な支援になります。

就職後の支援

最後の支援の内容は、就職後の課題や相談への対応です。
就労支援で大切なのは、長く働けること、仕事を通して自立できることにあります。

福祉制度上の就職は、あくまでも仕事に就くことを意味します。
しかし、この場合だと就職後に困り事が発生した際、頼れる人や福祉サービスの存在を知らないままですから、一人で悩みを抱え込んでしまいます。
このような状態では、就労支援の目標である自立になりません。

長く働くためには、困り事が生じた時に解決できる手段を持っている必要があります。
その解決手段の一つとして、就職後の支援があるのです。

さらに対象となるのは、仕事の悩みだけではありません。
関連して、生活面の課題が浮き彫りになることがあります。
生活面の課題を見逃してしまっては、仕事に支障が出てしまいますので軽視できません。
よく紹介される就労支援は就職前の内容が多いですが、就職後の支援も充実しているのです。

様々な就労支援を受けるメリットとは?

就労支援の種類を確認してきましたが、これらの支援を受けるメリットは3つあります。

  1. 福祉サービスとの繋がりが持てる
  2. 他の利用者との交流が得られる
  3. 自分に合った就労環境を見つけられる

無事に就労が実現できるまでには、様々な人との関わりがあります。
それらを通して得られるメリットについて、ご紹介しましょう。

福祉サービスとの繋がりが持てる

1つ目は、様々な福祉サービスと繋がりが持てるようになることです。
現在、障害者が抱えている困り事の解決には、多数の福祉サービスが用意されています。
しかしながら、手続きの複雑さや制度内容の分かりにくさ等の事情から、必要な支援が届いていない人も少なくありません。

就労支援を通して、その人に必要な福祉サービスを繋げることができるのです。
中には、障害者本人が気づいていなかった問題をスタッフが発見し、サービスに繋げたことで多くの問題解決ができた事例もあります。
これは就職活動に集中するためにも大切なことですから、軽んじてはいけません。

他の利用者との交流が得られる

2つ目は、担当スタッフだけでなく、他の利用者とも交流があることで精神的な支えが得られることです。
どうしても一人で就職活動をしていると、どこかで気持ちが折れてしまうことも少なくありません。
ですが、同じように就労を目指している人を知ると、もう少し頑張ろうと思うことができます。

また、同じような悩みを抱えている人と交流がある場合、共感できる内容もあるはずです。
そのような繋がりが、就職活動の支えになるのです。
中には、就職活動が成功した後も、関係性が続いていることも珍しくありません。
同じような経験をした仲間だからこそ、分かり合える関係は就職後の心の支えになるのは間違いないでしょう。

自分に合った就労環境を見つけられる

3つ目は、様々な支援を通して自分に合った環境を見つけられることです。
自己分析は一人でもできると考えがちですが、意外と難しいです。
専門スタッフと一緒に試行錯誤することで、自分に合った、長続きできそうな強みを発見することができるのです。

就労支援は、就職前から就職後にかけて用意されていますし、いつ頼っても問題ありません。
過去の出来事から自信を失ってしまった場合であっても、一からやり直すことができるのです。
必要な支援を活用しながら、長く働くことを現実にしてみましょう!

とはいえ、これらの支援は複数の機関や事業所で行われています。
となると、機関や事業所ごとの評判も気になってくるはずです。
実は、どの機関でも同じような支援が行われている訳ではありませんし、やはり相性があります。

そのため、利用するにあたり相性を考えて選択することも求められます。
特に就職率を重視する場合は、慎重に情報収集する人もいるでしょう。

そのような人は、障害者専用の転職サイトの利用を視野に入れてみませんか?
転職サイトならば、就労支援を受けつつ、確実に就職できる可能性を高くできます。
せっかく就労支援で培ったスキルが活かせないことはありません。

むしろ、転職サイトで支援を受けた方が、その人に合った求人を多く探し出すことができるのです。
就職活動では、複数の企業を見てみることも大切ですが、自治体サービスによっては、求人の内容が限られてしまうこともあるでしょう。
確実に就職を決めたいならば、専用サイトを検討してみて下さい。